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ウォルマートが実施したコロナ禍における組織づくり-アジャイル型組織

広報部

2021.02.09

アメリカの小売最大手のウォルマートは、新型コロナウイルスへの対抗策としてネット通販を急拡大しています。新たに提供を始めた宅配サービスはまたたく間に広がり、アメリカ国内では非常に知られたサービスとなっています。そんなサービスをウォルマートではわずか2週間でローンチするまでに至りましたが、実現できた背景には「アジャイル型組織」の存在があります。

今回は、ウォルマートが実施する宅配サービスの概要と併せて、テレワークが広がる今後の働き方の効果を最大化するアジャイル型組織について見ていきましょう。

ウォルマートの宅配サービスを作り上げたアジャイル型組織

ウォルマートは2020年4月中旬から、新たな宅配サービスであるエクスプレスデリバリーを開始しました。当初は100店舗で試験運用を開始していましたが、2020年11月にはアメリカ国内の2,800店舗と65%の世帯にまで広げることができています。

エクスプレスデリバリーは在庫状況や交通状況、気象情報などをもとに機械学習を活用して高精度な配達経路を計算し、注文から2時間以内に商品を宅配するサービスです。驚くべきは、このような高度なサービスをわずか2週間でローンチするまでに至ったことでしょう。

そして、それを実現するために設立されたものがアジャイル型組織です。

テレワーク環境で求められるアジャイル型組織とは

アジャイル型組織とは、システムエンジニアや事業担当者、デザイナーなどからなる部門横断チームです。権限が移譲され自律的に動くことができるため、スピード感を持ったシステム開発が行えます。アジャイル型組織の定義としては、次の3点を満たした組織が該当します。

  1. 少人数の自律的なメンバーによって構成
  2. 各メンバーの強みを生かしたタスクの分担
  3. 高頻度なすり合わせを通じて施策を都度修正することで手戻りを低減

日本でもテレワークの導入が進んでいますが、コミュニケーションの課題に悩まされている方も多いのではないでしょうか。従来と比べてコミュニケーションの量・質ともに低下しており、従来以上の業務効率を目指すためにはアジャイル型組織の存在は欠かせないと言えるでしょう。

日本でアジャイル型組織を成功させるための3つのポイント

そんなアジャイル型組織への変革においては、「経営層や事業部門の理解醸成」「マインドセットとスキルセットの変革」「成果の実現」という3つのアプローチが必要になります。

経営層や事業部門の理解醸成

アジャイル型組織はシステム開発の手法が基盤であり、情報システム部門を中心に広がりつつあるものの経営層や事業部門の理解は十分とは言い切れません。経営層や事業部門の理解を深めるためには「CoE(Center of Excellence)」と呼ばれる変革推進タスクフォースを通じて考え方を広めることが有効です。さまざまな関係者が変革を「自分ごと」として捉えることができれば進めやすくなります。

マインドセットとスキルセットの変革

日本企業では新たな取組よりも既存プロセスの維持が重視されがちです。チャレンジよりも失敗を回避使用する傾向が強いため、そのマインドセットを変革する必要があります。加えて、失敗を恐れずに挑戦する意欲を持ち、スキルを継続的に習得してスキルセットを構築していく人材が求められます。

成果の実現

組織を変革するにあたり、社内には抵抗勢力が生じます。その勢力に対してアジャイル型組織の有用性を実証しなければなりません。そのためにはアジャイル型組織がスピード感を持って活動できるプロセスや環境の整備が重要です。短期間で成果を出すことが求められる場合には、アジャイル型組織の成果に実績があり、熟知した人材を雇用することも有効となります。

〈参照〉コロナ禍でもウォルマートが強みを見せた理由/東洋経済オンライン

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