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ウォルマートの新たな購買体験が見せる次世代の小売業の姿

2020.03.31

世界最大級のアメリカの小売企業「ウォルマート」が、Amazonに対抗する手段を見つけつつあります。今回は、オンラインとオフラインの融合を進めるウォルマートの「オンライン・グローサリー・ピックアップ(OGP)」の概要から、これからの小売業のあり方について解説していきます。

業績が好調なウォルマートが展開するOGPとは

ウォルマートの2019年8月~10月期の売上は、前年同時期比4割増となり、株価は上場来高値を更新しました。Amazonの台頭により、厳しい状況が続いていた小売業界のなかで、対抗しうる手段を見つけつつあります。

その一つが、同社のEC事業を牽引するサービスである「オンライン・グローサリー・ピックアップ(OGP)」です。OGPは、通常のECショップのようにインターネットを通じて商品を注文します。注文情報はスタッフに連携され、店舗内の商品を「パーソナルショッパー」と呼ばれるスタッフがピックアップする仕組みです。ピックアップされた商品は店舗内で保管され、顧客が車などで店舗に受け取りに来た際に直接渡します。

従来のネットスーパーと異なり、自宅まで配送するわけではないため、配送コストが掛かりません。従来のネットスーパーは、顧客と店舗側の負担バランスが偏ってしまい、うまく行かないことが多いものでした。しかし、OGPでは負担のバランスが上手に取れている形です。

ウォルマートのOGPのオーダーは、7割~8割がリピータによるものだといわれています。生鮮食品は自分の手で取って選びたいというニーズもありますが、基本的には平均的な大きさのものを選ぶようにしているとのこと。しかし、顧客ごとの細かい要望や好みにも「パーソナルショッパー」は応えます。たとえば、「バナナのシュガースポットが多いものを選んでほしい」というような要望に応えることが可能なのです。

ウォルマートのOGPは、個々人に最適化された購買体験を提供しているといえるでしょう。

購買体験のパーソナライズ化が求められる

これからの小売業では、「Online Merges with Offline(OMO)」が求められます。OMOとは、オンラインとオフラインを融合し、顧客ごとにパーソナライズされた購買体験を提供すること。顧客の「思い入れ」を高める新たなビジネスモデルとして求められているのです。

OMOはMicrosoft社が力を入れている取り組みでもあります。同社はウォルマートを始めとする、さまざまな小売業との協業契約を結びました。クラウドサービスの「Microsoft Azure」によるITインフラの革新、AI・IoTなどの技術を活用したオペレーションの革新や、購買体験の変革に取り組んでいるのです。

多くの顧客は、オンラインだけでなくオフライン(実店舗)でもパーソナライズされた購買体験を期待していると見られています。テクノロジーの進化に合わせて、提供側も新たな進化が求められており、そのなかでも「購買体験のパーソナライズ化」は重要な課題といえるのではないでしょうか。

〈参照〉絶好調の米ウォルマート アマゾン対抗サービスに密着/日本経済新聞

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