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ワークマン自社ECサイトリニューアルの柱となる「クリック&コレクト」

2020.03.31

作業服大手のワークマンが、2020年2月をもって「楽天市場」から撤退すると発表しました。今後は自社ECサイトを強化することとしています。

今回は、ワークマンが「楽天市場」から撤退する背景とあわせて、次世代型の通販スタイルである「クリック&コレクト型」の紹介、それによってもたらされる実店舗とネットの融合に関して述べます。

ワークマンが「楽天市場」から撤退する背景

ワークマンは2018年の時点で、2020年3月にECサイトのリニューアルを計画していました。今回の楽天市場からの撤退は、この計画にもとづいた自社ECサイトの強化によるものです。

業績好調なワークマンですが、その売上のほとんどは実店舗による売上に依存しており、オンライン販売の売上は1%しかないとのこと。オンライン販売を強化したい考えはあったものの、店舗の9割以上がフランチャイズ契約であり、加盟店オーナーへの配慮からEC戦略を立てづらい状況でした。

しかし、海外のファッションブランド「ZARA」や、ファストファッションブランド「ユニクロ」で取り入れられている「クリック&コレクト型」の仕組みが、この状況を打破する切り札になると考えられています。ワークマンは店舗在庫と本部の在庫を一元化するシステム導入を目的として、クリック&コレクトを導入したECサイトへと生まれ変わろうとしているのです。

楽天市場やAmazon、ZOZOTOWNなどの他社ECサイトでは出店料が掛かるため、原価率の高いワークマンにとってはコストを削減したい考えもあります。

アパレル販売の「クリック&コレクト型」への時勢

クリック&コレクト型は、オンラインで注文を受け付け、実店舗の在庫を用いて店舗で受取る、または店舗から発送する仕組みです。実際にZARAやユニクロではクリック&コレクトを導入し、他社のECサイトに頼らない自社ECサイトでの成功事例となっています。

ワークマンでは店舗受け取りだけにすることで、実店舗への来客を増やす狙いとしています。店舗受取りにすることで、直接店舗で受け取るため「配送時間の削減」や「送料無料化」といった顧客側のメリットも提供できるように。

「ワークマンのECサイトで注文される商品の約7割は、店舗に在庫がある人気商品」と語られており、実店舗とネットの融合によって、双方の「いいとこ取り」を実現する狙いです。

クリック&コレクト型の仕組みは、アパレル業界だけでなく小売業界などでも注目されており、次世代型の通販スタイルとして期待されています。

実店舗とネットの融合、デジタル化

ECサイトの台頭により、実店舗を展開するアパレル業界や小売業界は、苦しい状況が続いていました。しかし、実店舗にはECサイトにはないメリットもあります。クリック&コレクト型は双方のメリットを享受できる新たな仕組みです。

実店舗とECサイト(ネット)を別々に考えるのではなく、それぞれを融合させることがこれからの実店舗経営で重要になるのではないでしょうか。さらに、ワークマンではIoTを用いた「データ経営」にも力を入れており、今回のECサイトリニューアルはワークマンのデータ経営を後押しするものになるでしょう。 〈参照〉ワークマン楽天撤退の裏事情、目指すは「ZARA」「ユニクロ」流の自前EC/DIAMOND online

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