アメリカのドラッグストアチェーン大手の「ウォルグリーン」が、Microsoftと戦略的なパートナーシップ契約を締結しました。両者の提携にはAmazonへの対抗があると見られていますが、今回は提携の概要から目的について紹介します。
ウォルグリーンとマイクロソフトが提携
2019年1月15日に、ウォルグリーンとMicrosoftは7年間の戦略的なパートナーシップ契約を締結したと発表しました。
この提携により、ウォルグリーンのヘルスケアに関するITインフラのほとんどを「Microsft Azure」に移行することとしています。さらに、社内のコラボレーションツールや、顧客との信頼関係構築ツールとして「Microsoft 365」を導入して利用を開始。
ウォルグリーンの12店舗で、Microsoftの製品やサービスを活用する「デジタルヘルスコーナー」の開設も計画されており、新たな医療提供モデルの立ち上げを目指しています。
両社が提携した背景
両社が提携した背景には、目的のほかにもAmazonに対抗するためという理由が見えます。Amazonは世界最大級のマーケットであり、Amazon Web Service(AWS)はクラウドサービス市場のシェア率トップです。
ウォルグリーンはドラッグストアの競合として、MicrosoftはITサービスの競合として、両社にとってAmazonは競合相手となるのです。ウォルグリーンのCEOであるステファノ・ペシナ氏は、無人コンビニの先駆けである「Amazon Go」について、「新たな(ドラッグストアの)競争相手である」と語っています。
また、Amazonが提供する「AWS」は、Microsoftが提供する「Azure」のクラウドサービス市場の直接的な競合相手となります。AWSのシェア率は市場の40%と非常に高く、AzureもAWSの一人勝ち状況を打破したい考えです。そのため、Amazonに対抗するために、両社が手を取り合った形となっています。
参照元:IaaS+PaaSクラウド市場、AWSの首位ゆるがず/ITmedia News
よりパーソナルなサービス提供を計画
今回の提携の目的は、次世代のヘルスネットワークや、在宅介護支援の問題を解決する革新的なクラウドプラットフォームを構築することです。従来よりも高度なヘルスケアサービスを低価格で、消費者や医療機関に提供します。
両社は、いままで以上にパーソナルな医療提供システムを構築することを計画しています。デジタル診断アプリや店舗での専門家によるアドバイスなどを提供することで、よりパーソナライズされた情報を提供。Amazonへの対抗手段として、よりパーソナルなサービス提供を計画しているのです。
ユーザーごとに適したサービスを提供することは、今後ビジネスを発展させる上で欠かせません。今回の事例だけでなく、業種を問わずさまざまな場面で、パーソナライズされた情報は必要とされるでしょう。