日本国内の飲食の消費市場は縮小傾向にあり、急成長する海外の消費市場に目を向ける飲食店経営者は多いのではないでしょうか。実際に日本の飲食事業におけるグローバル化は急速に進んでおり、コロナ禍以前ではありますが、アジア諸国を中心にニーズは増加傾向にありました。
そこで今回は、海外で出店するまでの10の流れとともに、開業するための資金調達方法について触れていきます。
海外出店までの10の流れとは
海外出店までの流れを大きく分けると、次の10の流れにまとめられます。
- 情報収集
- コンセプト設計
- 事業計画
- 資金調達
- 店舗物件選び
- リーガルチェック
- お店作り
- 開業手続き
- 人材募集
- 店舗オープン
1~3をオープンの約1年前~6ヶ月前までに、4~7を約3ヶ月前までに実施し、最後の8~10を約2ヶ月~1ヶ月前までに対応します。
このなかから、いくつか箇条書きだけでは分かりづらいものをピックアップしてもう少し詳しく見ていきましょう。まず、2のコンセプト設計では「どの国のどのエリアにどんな店を作りたいのか」といったイメージを具体的に落とし込むことを行います。その際には、コンセプト作りに必要な「6W2H」の要素を落とし込んだオリジナルのコンセプトシートを作成しましょう。
- Why:開業する動機や顧客の利用動機
- Where:進出国、出店エリアなど
- Who:オーナー、スタッフなど
- What:業態、メニューなど
- When:出店時期、営業時間など
- Whom:ターゲットの客層
- How:商品やサービスの提供方法、スタイルなど
- How much:価格帯など
次に6のリーガルチェックですが、これは法的リスクの有無をプロの専門家にチェックしてもらう項目です。国内とは異なる様々なリスクが存在する海外ビジネスにおいて、リーガルチェックは欠かせません。海外の飲食業に詳しい現地コンサルなどのプロのサポートを受けましょう。
海外で開業するための資金調達方法
開業するためには資金調達が欠かせませんが、具体的にはどのような方法があるのでしょうか。調達する手段としては、主に次の3つの手段が考えられます。
- 自己資金
- 親族、知人からの借り入れ
- 金融機関からの借り入れ
理想としては自己資金で開業資金の全額をまかなえることが最良ですが、可能であれば半額、最低でも3分の1は用意できるとよいでしょう。仮に足りない分を金融機関から借り入れる場合、開業資金の3分の1程度が用意できなければ借り入れ自体が難しくなってしまうからです。
新規開業者の場合は銀行などの民間金融機関からの借り入れは難しいかもしれませんが、その場合は公共の金融機関である日本政策金融金庫の活用も検討しましょう。日本政策金融金庫では「海外展開・事業再編資金(企業活力強化貸付)」といった融資があり、とくにASEAN諸国や中国などで事業展開する中小企業や、小規模事業者の支援を積極的に行っています。
海外で開業する際には資金調達が大きな壁になる可能性がありますが、これらの資金調達方法と併せて積極的に活用しましょう。