新型コロナウイルスの影響によって客数は減っているものの、スーパーマーケット業界では一定の売上を確保しています。そんななかで、「守る・攻める・変える」をキーワードにライフコーポレーションは挑戦を続けています。今回は、ライフの高崎高治社長のインタビューをもとに、ライフの「守る・攻める・変える」戦略について見ていきましょう。
従業員と顧客の安全安心を確保する「守る」
高崎社長は「最優先すべきは、従業員と顧客の安心安全を確保することに尽きます」とコメントしており、その上で可能な限り営業を継続してライフラインを支えたいと考えているとのこと。
ライフは約5万人の従業員がおり、店舗での感染拡大を起こさないために売り場やバックヤードの感染防止対策を一層強めることとしています。
ネットスーパーを始めとするDX推進「攻める」
ライフでは、自社のネットスーパーだけでなくAmazonと協業したネットスーパーの拡充を強めています。高崎社長は「今期は50億円規模の売上になる見込みです。来季は100億円、将来的には200億円規模まで成長を目指します」としており、一店舗あたりの配送、スタッフのキャパシティを拡大する予定です。
ネットスーパーの強化には物流・システム・強化が重要になると考えられており、採用を強化してトレーナーや企画職などの本社の体制を充実させ、将来的には新しい組織の設置も考えているとのこと。
そのほかにも、岩崎社長は「DXは現代のバズワードですが、小売業では顧客へのアプローチ、働き方改革の2つが主な対象になります」とコメントしています。顧客向けにはオリジナル電子マネー「LaCuCa」をスマートフォンのアプリで決済できるようにしており、近いうちにネットスーパーでの決済も対応する予定です。
働く環境の改善、3密を避ける働き方改革「変える」
新型コロナウイルスによって働き方も大きく変える必要があり、働き方改革につながるDXを推進しています。ライフでは全店でのAI発注導入を目指しており、一部店舗では電子棚札の実証実験も開始しているとのこと。
そのほかの働き方改善の例としては、月1回集まっていた店長などの会議をいっさいやめ、動画を撮影して配信する形に変えました。その結果、動画であるため売り場のチームの一緒に聞ける、話の理解度が上がったなどのメリットが挙げられています。本社でも会議の準備が減ったことで効率と利便性が上がり、デジタル化による効率化が進められています。
2021年の課題として、岩崎社長は「小売業界、特にスーパーマーケットは同質競争が続き、利益が上がらず生産性が上がらないと経済産業省からも生産性の低さが指摘されてきました」とコメントし、「小売業界にとってはピンチをチャンスに変え、小売業界全体の体質改善を行う時期ではないでしょうか」とコメントしました。
「同質競争に偏らず、各社がそれぞれの付加価値を付けた戦略で競う業界、企業への変化が課題」として、改革を進めて一層魅力的な店舗、商品を顧客に提供していきたいと考えられています。