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コロナ禍でも業績を伸長するアメリカ小売業界の「デジタル投資」とは

広報部

2020.10.13

新型コロナウイルスは日本だけでなく世界中で猛威を奮っており、その影響を受け、経営が難しくなった企業も少なくありません。しかし、そんななかでも業績が伸長している企業もあり、コロナ禍における明暗を分けるものは「デジタル投資」であると見られています。

今回は、アメリカの小売企業の例をもとにデジタル投資による効果を見ていきましょう。

アメリカの大手小売企業は業績が伸長

アメリカには「ビッグ・ボックス・リテーラー」と呼ばれる大手小売企業が存在します。

  • Walmart
  • Amazon
  • Target
  • Costco
  • Lowe’s
  • Home Depot

アメリカの2020年第2四半期の小売消費の約30%はこれらの企業によるものであり、コロナ禍でも業績を維持・伸長していることがわかります。Walmartの今期のEC事業は前年比で97%増えており、TargetのEC事業売り上げは前年比195%という結果に。

多くの小売企業が経営難に追い込まれるなか、これらの企業が好調である最大の理由は「デジタル投資」にあると言えるでしょう。新型コロナウイルスの影響を受ける前から、デジタルトランスフォーメーションとITインフラの構築に取り組んでおり、その効果が現れ始めているのです。

特にカーブサイドピックアップが大きな効果をもたらしている

日本でも普及が進みつつあるカーブサイドピックアップ。アメリカの大手小売企業ではコロナ以前から実施されていましたが、コロナによって便利なサービスとして定着しつつあります。

カーブサイドピックアップはオンラインで注文後、近くの店舗に車などで商品を受け取りに行く購入モデルです。オンラインで注文・決済が行え、自身で商品を受け取りに行くため商品を受け取るまでの時間を短くできます。さらに、面倒なレジ待ちも省略でき、人との接触を避けたい昨今においては非常に便利なサービスとなっています。

カーブサイドピックアップによる効果を多大に受けたアメリカの企業の事例を見てみましょう。家電系の小売大手「BestBuy」は、2020年3月に店舗すべてを閉鎖し赤字になる可能性がありました。しかし、閉鎖した店舗でカーブサイドピックアップを開始したところ、前年比でオンラインの売り上げが242%となり、株価は今年だけで30%程も上昇したのです。

くわえて、Amazonでもアメリカ国内では当日配送は難しいとされていますが、カーブサイドピックアップを利用することで消費者は当日中に商品を受け取れることも、カーブサイドピックアップが評価される要因の一つとなっています。

デジタル投資による変化が必要

カーブサイドピックアップだけでなく、サブスクサービスも大きな効果をもたらしていますが、共通して簡単に導入できるものではありません。そもそもECサイトを運営している必要があり、Webアプリやモバイルアプリの開発、オンライン注文に対応するための専用オペレーションの設計と実装など、多くの準備が必要です。

これらはデジタル投資による対応の一部であり、今回紹介したアメリカの企業は数年前から準備していた会社がほとんど。これから先はさらにデジタル化が進むことが予想され、小売企業はデジタル投資による変化が求められていると言えるでしょう。

〈参照〉コロナ禍の米・巨大スーパーを救ったのは「デジタル投資」…日本はどうなる?/Business Insider

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