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島忠がDCMの完全子会社化/M&Aが活発なホームセンター業界のいま

広報部

2020.10.28

ホームセンター業界大手のDCMは、2020年10月2日に同じくホームセンター業界の大手である島忠を完全子会社化することを発表しました。今回のM&Aによって、DCMはカインズを抜いて業界トップになります。ホームセンター業界では今回のようなM&Aが続いており、業界は大きな変革期にあるといえるでしょう。

今回は、DCMと島忠のM&Aに関する概要から、ホームセンター業界でM&Aが続く理由などについて触れていきます。

DCMが島忠を買収して業界トップに

DCMは2019年度にカインズに業界トップの座を奪われましたが、今回のM&Aによって業界トップに返り咲きました。ホームセンター業界の売上高順位としては次のとおりです。

  1. DCM+島忠
  2. カインズ
  3. コーナン商事
  4. コメリ
  5. アークランドサカモト+LIXILビバ
  6. ナフコ
  7. ジョイフル本田
  8. ケーヨー
  9. 東急ハンズ
  10. ロイヤルホームセンター

直近のカインズの売上高は4,410億円であり、DCMと島忠の売上高は合算すると5,836億円となり、2位以下を大きく引き離す結果となっています。

ホームセンター業界でM&Aが続く理由

ホームセンター業界では近年M&Aが続いています。その理由としては、ホームセンター市場の飽和が挙げられるでしょう。市場規模は20年前から4兆円前後で横ばいのまま推移しているものの、ホームセンターの店舗数だけは増え続けています。

DCMの石黒社長は市場環境について「正直言ってオーバーストア。必然として再編は活発化する」と語っており、島忠の岡野社長は「店舗の収益性は下がっている」とコメントしました。業界の各社は生き残りをかけた経営改善に力を入れるため、M&Aが続いているのです。

くわえて、M&Aによって他社との差別化を図るための手段として注目されているものが「プライベートブランドの強化」です。

プライベートブランドの強化が一つの鍵

DCMの石黒社長も島忠を完全子会社化する意義として「プライベートブランド商品のステージをあげる」とコメントしており、他社との差別化の手段としてプライベートブランドの強化が挙げられています。プライベートブランドは「利益率の高い商品を販売できる」「顧客を囲い込める」などのメリットあり、飽和状態にあるホームセンター市場で抜きん出るには避けて通れない道と言えるでしょう。

現在は新型コロナウイルスにより新しい生活様式が求められており、ホームセンター業界には追い風が吹いている状況です。DCMの石黒社長も「今、ホームセンター業界はいい方向に動いているが、中長期的には他業界との競争も厳しくなってくる」とコメントしており、業界内・他業界との競争を勝ち抜くための手段として、プライベートブランドの強化が一つの鍵となるのではないでしょうか。

〈参照〉カインズ突き放す「DCM・島忠」連合誕生の衝撃/東洋経済ONLINE

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