乳児用品を取り扱う西松屋は全国に広く展開していますが、どの店舗も混雑していることはありません。しかし、売上は直近25年間ずっと右肩上がりで伸び続けており、前期は1,429億円の売上でした。西松屋はなぜこのように好調な売上を維持できるのでしょうか。
今回は、西松屋の常務執行役員店舗運営本部長のインタビューをもとに、西松屋が売上を伸ばし続ける秘密について紹介します。
コストを抑えた店舗経営
西松屋は原則どの店舗も郊外で駐車場付きの独立店舗として構えられています。店内も広く設計されており、駐車場を含めて1,000坪ほどの広い立地を目安としているとのこと。
その理由としては、もともとは人が密集している都市部は家賃が高く、出店コストを回避するためでした。その結果、低価格で商品を提供できるようになり、広い店舗で顧客もストレスなく買い物ができる環境が出来上がっています。
加えて、店内の従業員は2名体制が基本となっており、作業内容は新人でもすぐに熟練パートと同レベルの仕事ができるように極限まで簡素化されているのです。また、すべての衣料品はハンガー陳列となっており、衣類を広げたり畳んだりといった手間を顧客・従業員ともに回避する工夫がなされています。
西松屋ではこうしたあらゆるコストをおさえ、低価格で商品を提供する経営を続けています。
「社会インフラ」としてリピート客を増やす考え方
西松屋の常務執行役員店舗運営本部長の坂本和徳氏は、「西松屋は『社会インフラ』だと思っている」とコメントしました。その言葉は、西松屋が展開する店舗数にも現れていると言えるでしょう。
同社の競合他社である赤ちゃん本舗は118店舗に対して、西松屋は約10倍の1,006店舗を展開。生まれたての赤ちゃんから小学校高学年までの幅広い年齢層の子供を対象に、1店舗で買い揃えることができるワンストップショッピングを目指しているといいます。
また、商品は半袖Tシャツなら1枚399円と、いつでも低価格であることが西松屋への信頼につながると考えられており、その信頼によってリピート客を増やすことができていると考えられています。
今後は実店舗のインフラを活かしてオンラインとオフラインの融合を目指す
子供関連市場はおよそ2兆円とされていますが、西松屋では2025年までにシェア10%を達成し、その後もさらなるシェア拡大を目指しています。
西松屋ではリアル店舗が強い企業がネットショッピングも強くなる、と考えられており、ネットで頼んだ商品を送料無料で受け取れるようなサービスなどを全国1,000店舗というインフラを活かして充実させたい、とコメントしました。
ネットで注文して店舗で受取るBOPISは、顧客が自分のタイミングで商品を受け取りに行けるため、アメリカや中国では一般的なサービスとなっています。西松屋では、今後このようなオンラインとオフラインの融合を目指していると言えるでしょう。