2020年以降、飲食・サービス業は客足が遠のき、なかなか以前のように運営ができていない店舗も多い現状です。しかし、そんななかでも客足が戻ってきている店舗もあり、その違いとして「人材育成による店舗のQSC向上の有無」が挙げられています。
今回は、コロナ禍でも客足が戻る店とそうでない店の違いや、QSC向上のために行うべき対策について紹介します。
QSCが良い店は客足の戻りも早い
QSCはQuality(品質)、Service(接客)、Cleanliness(清潔さ)の頭文字からなる言葉であり、飲食業界においては常識とも言える行動指標です。このQSCの良し悪しこそ、コロナ禍において客足が戻る店とそうでない店の大きな分かれ目になると言われています。
株式会社ホスピタリティ&グローイング・ジャパンの代表取締役社長である有本均氏によれば、「店舗運営においてQSCが良い店のほうが客足の戻りが早く、同一企業のチェーン店においてもQSCの差でお客の戻りに違いがある」とコメントしています。
また、QSCにはコロナ対策も含まれており、入り口にアルコール消毒液がおいてあるだけで他は何もしていない、などの目に見える対策が取られていない店舗は敬遠されると指摘。基本的な清潔さに加えてコロナ対策を徹底しているか、消費者にしっかりとアピールできているかが明暗を分けています。
QSC向上のためには従業員の教育が欠かせない
このQSCを向上させるために、有本氏は従業員教育の重要性を強調しました。「教育制度を充実させることがQSC向上につながります。新型コロナでお客様が減った今だからこそ、チャンスと捉えてOJTに時間を割く企業も出てきています」ともコメントしています。
さらに、飲食業界においては長い間人手不足の問題がありましたが、2020年6月以降は解消されつつあります。コロナによって閉店・休業する店舗が増えたことが要因ですが、あくまでも一時的なものであり将来的には再び人手不足となるため、「今頑張っている人が辞めないような仕組みを作っておく必要がある」とのこと。
コロナ禍の今こそ人材育成に力を入れる
有本氏は「飲食サービス業の従業員は、お客様に接して利益を挙げるという点で、全員が同じゴールを目指しています。ゴールが同じならば、義務教育化したほうがいいのです。人手不足の時代だからこそ、メンバー全員の力を底上げする義務教育が必要です」とコメントしました。
厳しい状況が続いていますが、企業の成長のためには「人」の成長が欠かせません。コロナ禍の今こそ人材育成に力を入れる時期なのではないでしょうか。