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富裕層をターゲットにする阪急うめだ本店リニューアルオープンの目的とは?

2020.03.31

阪急阪神百貨店の基幹店である「阪急うめだ本店」が、2020年1月から段階的にリニューアルオープンします。今回のリニューアルでは約25億円を投じ、希少性や限定性を高めて、富裕層をターゲットに見据えました。
今回は、阪急うめだ本店のリニューアルオープンの概要とあわせて、リニューアルの目的について述べます。

リニューアルにより売り場の拡大と高級化

阪急うめだ本店のリニューアルは、5階~7階を改装する予定です。宝飾品や高級時計、高級婦人服、高級スキンケア化粧品の売り場を拡大・高級化する予定となっています。

1月21日には、高級スキンケア化粧品売り場の「HANKYU BEAUTY MAISON」を7階にオープン。スキンケア化粧品売り場は、6階から7階に移設し、従来の4倍の売り場面積を確保します。さらに、医師や薬剤師などによるカウンセリングや、AIを活用したデジタルカウンセリングも提供する予定です。

3月には、6階の「プレミアムファッション」の婦人服売り場をリニューアルします。売り場面積は従来どおりですが、「オーセンティック」部門のリニューアル、「コンテンポラリー」部門の拡大を予定しています。

4月には、5階の宝飾部門の売り場を従来の1.5倍に拡張。1,000万円以上の品揃えを拡充する予定です。さらに春には、7階の高級時計部門「ウォッチギャラリー」を6階に移設し、売り場を2.5倍に拡張。300万円以上の品揃えを拡充する予定となっています。

ターゲットを絞り、パーソナライズ化が進む

百貨店はさまざまな顧客層をターゲットに、多くの商品を販売するお店です。しかし、顧客は「自分自身に向けられたもの」を欲しがる傾向にあります。今回の阪急うめだ本店のリニューアルは、ターゲットを限定化することで、顧客の心をつかむ目的があるのではないでしょうか。

「ターゲットを限定すると絶対数が減るため、売上も減るのではないか」という懸念もあるでしょう。しかし、情報やモノがあふれる現代においては、ターゲットを限定しないと情報や商品を顧客に届けることが難しくなってきています。

一人の顧客に深く刺さるサービス・商品を提供することで、同じ属性を持つ他の顧客の心も掴むことができ、リピート率の向上も期待できます。そのため、ターゲットを限定しても一概に売上が減るとは言い切れません。

このことから、これからの販売戦略としては、ターゲットを絞ること(パーソナライズ化)は必要不可欠なものだといえるでしょう。だからこそ、大手の阪急阪神百貨店は、今回のリニューアルオープンを決定したのではないでしょうか。

〈参照〉阪急うめだ本店、富裕層をターゲットに改装、20年1月以降順次オープン/Diamond Chain Store

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