2020年1月24日に、三菱地所が「長期経営計画2030」を発表しました。この経営計画の中では、国内アセット・海外アセット・ノンアセットの3つの事業で、合計事業利益3,500億円~4,000億円を目指すこととしています。
今回は、長期経営計画2030の概要や、計画のなかで行われるAI・ロボティクスなどの活用戦略について紹介します。
三菱地所の「長期経営計画2030」の概要
長期経営計画2030の目指す姿は、「まちづくりを通じた真に価値ある社会の実現」です。基本方針として「まちの利用者や従業員を含むすべてのステークホルダーへのより高い価値の提供」を掲げ、社会価値向上戦略と株主価値向上戦略の両輪で推し進める計画としています。
株主価値向上戦略となる2030年の計数目標は、次のとおりです。
- ・ROA(総資産利益率)=5%
- ・ROE(自己資本利益率)=10%
- ・EPS(一株あたり当期純利益)=200円
国内アセット事業の戦略として「丸の内NEXTステージ」と題し、常盤橋・有楽町エリアを重点更新エリアに指定しています。「丸の内Reデザイン」のテーマのもと、2030年までに総額6,000億円~7,000億円程度を投じる予定で、建て替えやリノベーション、ソフト整備を推進する計画です。
丸の内型イノベーション・エコシステムの進化施策と、デジタル基盤強化施策によって「人・企業が集まり交わることで、新たな『価値』を生み出す舞台」の実現が、国内アセット事業の目指す姿です。
AI・ロボティクスなどの活用戦略
ノンアセット事業の戦略のなかには、テクノロジーを活用した新たな取り組みも計画されています。現代では、生産人口減少による深刻な人手不足や、働き方改革の推進などの課題・ニーズがあります。その解決手段として、AIやロボットを活用する計画であり、街のサービスや運営業務などを効率化・高度化する目的です。
デジタル化を推進することにより、自律移動型の警備ロボットや、AI清掃ロボットだけでなく、監視カメラなどの映像をAI解析にかけることで、異常検知ができるようになるのです。さらに、デジタル化を通じて、不動産にメディア機能などをもたせて収益機会を創出することも考えられています。
先進テクノロジーによる取り組みによって、事業収益は250~300億円程度を見込んでいます。
企業に求められる先進テクノロジーの活用によるデジタル化
三菱地所の長期経営計画2030では、AIやロボティクスなどを活用し、デジタル化を推進する動向が見て取れます。長期経営計画2030からも分かるように、先進テクノロジーに対応することは、企業の経営戦略に必要不可欠な要素といえるでしょう。
AIなどの先進テクノロジーをいかに活用できるかが、企業の将来の明暗を分けるポイントになるのではないでしょうか。