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b8taが2020年夏に日本進出!「データを売るお店」の魅力とは

2020.03.31

画像:b8taより

「消費者の行動データを売る店」アメリカのb8ta(ベータ)が、2020年夏に日本へ進出します。b8taは商品を販売するのではなく、来店客の商品に対する行動や関心具合をデータ化して販売する仕組みの小売店です。

今回は、b8taの日本進出の概要とあわせて、その魅力や新しい小売店の形について述べます。

「b8ta Japan」の概要

b8taは2015年にアメリカでオープンし、世界中で25の実店舗を展開しています。パートナー店も含めると80店舗以上を展開。日本では「b8ta Japan」という名前で、丸井グループ・凸出版印刷・三菱地所が出資しています。

2020年夏には有楽町電気ビル1階と、新宿マルイ本館1階にオープンする予定です。分析結果を製品開発に活かしたいメーカーや、最先端アイテムの顧客反応を直接確認したい企業などから出展を募ります。

アメリカなどで展開中のb8taの店舗では、ファッションアイテムからデジタルガジェットまで、さまざまな商品が展示されています。

日本では、すでに同様の新しい小売店「BOOSTER STUDIO」が、渋谷パルコで展開中。BOOSTER STUDIOも同様に商品を売らず、最新IoTやVRなどの最先端アイテムが展示されています。商品ではなく、顧客の行動データを販売するお店です。

日本初出店となるb8taの直接的なライバルとして、BOOSTER STUDIOはお互いに影響を与え合う存在になるでしょう。

新しい小売店「b8ta」の魅力

b8taの魅力は、企業と顧客の双方にメリットと、新しい体験を提供することができる点にあります。b8taの店内には、顧客行動データを取得するために複数のカメラやセンサーが設置されています。店内を動く顧客の行動データや顧客属性、会話データなどを収集してデータ化するのです。

さらに、展示されている商品の横にはタブレットが設置されており、商品説明などの動画を閲覧できるようになっています。商品説明や動画をどのくらい観たのか、といった顧客の関心具合もデータ化・収集しています。

商品を出展する企業は、このような「生」の顧客情報をリアルタイムに受け取ることができます。製品開発だけでなく、マーケティングにも活かすことが可能です。

また、顧客側は最先端のアイテムに触れる機会が得られ、気に入った商品があればその場で購入することもできます。顧客が購入した商品の売上は、100%企業に還元される仕組みであり、b8ta側はあくまでも顧客データの販売しか行いません。

このように、b8taは企業と顧客の双方にメリットと、新しい体験を提供することが可能なのです。

「体験を提供する店」への転換

b8taはRaaS(リテール・アズ・ア・サービス)の先駆けです。RaaSはメーカーと顧客の新たな接点を構築する仕組みであり、実店舗への出展をより手軽に実現するためのサービスを、サブスクリプションモデルで提供するもの。

b8ta Japanへの出資・店舗展開を決定した丸井グループは、「モノを売る店」から「体験を提供する店」への転換を進めています。渋谷パルコで展開中のBOOSTER STUDIOも同じく体験を提供するお店であり、店舗を情報発信の「メディア」としても活用しています。

次世代の小売店の形として、新たな顧客接点を構築する「体験を提供する店」は、今後も増え続けていくことでしょう。 〈参照〉「モノよりデータ売る店」米b8taが日本上陸 今夏都内で/日本経済新聞

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