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b8ta Japanと提携のカインズが進めるデジタル化の姿

2020.03.31

2020年1月30日に、ホームセンターチェーンの「カインズ」が「b8ta Japan」と提携することを発表しました。「IT小売企業」として、「ストレスフリー」「パーソナライズ」「エモーショナル」なお買い物体験施策の導入を進めることとしています。

今回は、カインズとb8ta Japanの提携に関する概要から、小売のデジタル化について述べます。

RaaSスタートアップ企業「b8ta」とは

RaaS(リテール・アズ・ア・サービス)とは、「サービスとしての小売」を意味し、実店舗への出展をより手軽に実現するためのサービスを、サブスクリプションモデルで提供するものです。実店舗を持たずとも、オンライン広告を出すように、手軽に実店舗へ商品の出展を実現させるサービスとなっています。

b8taは2015年にアメリカでオープンし、世界中で25の実店舗を展開中です。IoTやVRなどの最先端アイテムを展示、顧客の行動データなどを収集して企業へ提供しています。b8taで展示された商品は、顧客が実際に体験することができ、気に入ればその場で購入することも可能です。

2020年夏には、「b8ta Japan」として日本に初進出することが決まっており、カインズにはb8ta Japanと提携して、IT小売企業として躍進する狙いがあります。

カインズがb8ta Japanとの提携で目指す姿

カインズは、2019年度からスタートさせた中期経営計画の柱の一つに「デジタル戦略」を掲げました。その実現のために「ストレスフリー」「パーソナライズ」「エモーショナル」を目的として、デジタルトランスフォーメーションを進めることとしています。

b8ta Japanとの提携により、カインズ独自のプライベートブランド商品だけでなく、ナショナルブランド商品などを幅広く展示する予定です。顧客が実際に体験し、購入できる場を創造したい考えとしています。

さらに、商品開発やマーケティングにも役立て、行動分析テクノロジーの活用も検討しているとのこと。「ものを売る店」から「体験を提供する店」へと転換することを考えているのではないでしょうか。

小売のデジタル化が進んでいる

カインズが「IT小売企業」を目指すように、小売企業はデジタル化施策を進める流れがあります。その流れを後押しするものとして、b8taと同様の日本のサービスをご存知でしょうか?

2019年11月にリニューアルオープンした渋谷パルコでは、b8taと同様に「データを売るお店」として、「BOOSTER STUDIO」を展開しています。開発中の商品などを実際に顧客に体験してもらい、顧客属性や行動パターンなどを収集、企業に提供するお店です。製品開発やマーケティングに活かすことができる仕組みづくりを行っています。

ECショップの台頭により、苦しい状況が続く小売ですが、ECショップにはない実店舗の強みを残しながら、デジタル化の強みを取り入れる施策が進みつつあります。カインズは「リアル店舗の強みとテクノロジーをかけ合わせ、お客様にお買い物体験価値を提供する」と語りました。実店舗を展開する小売企業は、この流れに乗ることが重要なのではないでしょうか。

〈参照〉カインズ/IT小売推進でリテールソリューション「ベータ」と提携/流通ニュース

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