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ドン・キホーテ「AIプライシング」が見据える小売業の新たな時代

2020.03.31

ドン・キホーテなどを運営するパン・パフィシック・インターナショナルホールディングス(PPIH)。同社は2月6日にAIによる値付けを行う「AIプライシング」を導入すると発表しました。従来の勘と経験に基づく値付けと競い合う体制にすることで、より魅力的な価格設定で商品を提供する目的があります。

今回は、AIプライシングの概要から同社が見据える「小売業の新たな時代」について述べます。

ドン・キホーテが導入する「AIプライシング」とは

従来のドン・キホーテでは、勘・経験・度胸(KKD)によって値付けを行っていました。今後は、AIによる値付けとあわせて、対決する形で値付けを競うこととしています。

AIプライシングは、競合価格や天候、レシートなどの膨大な独自データをもとに適切な価格を設定し、成功・失敗の経験を学習してアルゴリズムを強化するものです。ドン・キホーテの2店舗でAIプライシングは実験導入されており、3月いっぱいまで実験は続けられる予定です。その後、1年かけて100~200店舗に導入する考えとしています。

店舗によって、従来の値付けとAIプライシングは選択できるようになり、どちらが勝つかをチャレンジしたくなる仕組みづくりを進めています。

ドン・キホーテは非常に商品数が多い店舗です。小さい店でも5万点、大きい店では10万点にも。人の手によって値付けを行うことはあまり合理的とはいえません。値付けの合理化のためにも、AIプライシングの活用が期待されています。

PPIHが掲げる「マシュマロ構想」

AIプライシングは、PPIHが発表した長期経営計画「Passion2030」のなかにある「マシュマロ構想」の一部です。白くて丸いマシュマロのように、PPIHに色に染まっていない外部の価値観を柔軟に取り入れることを意味しています。

マシュマロ構想は、小売業の新たな時代に対応するためのものなのです。

現代では、顧客はさまざまな手段を用いて、多くの情報を得られるようになっています。そのため、従来のマーケティング手法にとらわれない、新たな取り組みが不可欠と判断され、経営計画の一部としてマシュマロ構想が立ち上げられたのです。

PPIHは完全子会社となる「株式会社マシュマロ」を創立しました。自社だけでなく他社や自治体などの異業種・異分野がもつ技術やノウハウなどを組み合わせる「オープンイノベーション」などを推進する考えとしています。

あらゆる情報をどのように活かすかが重要

現代では、シェアリングやサブスクリプション、消費者向けマーケットプレースなど、新しい消費スタイルが登場してきました。顧客はそのようなサービスを享受し、さまざまな消費体験を経験するように。

ECショップなどでは、顧客動向をすぐさまデータ化して対応できる環境にあり、店舗経営を行う小売業などでもその必要性が求められ始めています。AIやIoTの進化によって、オフライン環境でも多くの情報が取得できるようになってきました。

PPIHが見据えるように、小売業の新たな時代が始まろうとしているといえるのではないでしょうか。

〈参照〉ドン・キホーテ/「AIプライシング」導入、勘と経験の値付けと競争/流通ニュース

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