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中国「一智通」が提供する物流の新たな形

2020.04.01

ネット通販は非常に便利なものであり、さまざまなモノをインターネットで購入する機会が増えています。しかし、消費者の利便性が増す一方で、物流サービスに大きな負担がかかっていることも事実です。中国では、そんな物流サービスの新たな形を提供する「一智通(Yizhitong)」に注目が集まっています。

今回は、一智通の概要から、今後の物流の新たな形について見ていきましょう。

中国の配送サービスプラットフォーム会社「一智通」とは

一智通は、2014年に設立された中国の会社です。ネット通販などの配送サービス市場に、データ駆動型ホームファッションサービスプラットフォームとして参入しました。

家具の配送サービスからはじめ、現在では内装工事や住宅デベロッパーにまでサービス対象を広げているとのこと。家具の保管から配送、買い取り、リサイクル販売などのプラットフォームを提供しています。

一智通は中国国内の都市600以上と、3,000近くの県・区をカバーし、中国国内のホームファッション産業基地に面積数十万平米の倉庫を建設しています。倉庫は「保管」と「仕分け」の2つの機能を兼ね備えており、「小規模専門業者」と連携することで既存の輸送能力を活用してコスト低減に活かしているのです。

一智通が見出したビジネスチャンスとは

現在ではネット通販が活発化するにあたり、物流サービスの問題が大きな弱点となっています。市場調査機関の調べによれば、ネット通販の苦情の約7割は物流関係とのこと。

そのなかでも、一智通は家具の配送に関してビジネスチャンスを見出します。家具は生鮮食品と同様に特殊な配送であり、壊れやすく大きさや形もさまざまであることから、配送が難しいものです。さらに、中国の家具市場の規模は、日本円にして約9,300億円にまで成長しているものの、新しい販売チャネルに対する専門的な物流ソリューションが未成熟なままだったのです。

ネット通販における配送のほとんどは、売り手自身によって仲介業者やサードパーティ企業、配送業者などの小規模企業を通じて物流の手配を行っていました。家具は配送コストも高く、売り手の利益率を圧迫している状況です。

そこで、一智通が配送サービスプラットフォームとして参入し、売り手と小規模企業の双方にメリットをもたらす存在として、ソリューションを提供することで急速にビジネスを成功させてきました。

物流こそ進化が求められている

今回は中国での事例ですが、物流における問題は日本でも変わりません。

ネット通販の活発化によって、物流業界が苦しい状況に陥っていることは、ニュースなどでも見る機会が多いのではないでしょうか。日本でも同様に、物流業界は新たなソリューションを導入して進化する必要があるといえるでしょう。

〈参照〉中国、家具の配送 データ分析駆使しコスト圧縮/日本経済新聞

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