中国ではライブコマースを使った「ショッピング・エンターテインメント」のブームが巻き起こっています。最も早く新型コロナウイルスの影響を受けた中国ですが、その対応策としてライブコマースによる新たなビジネスモデルを開拓したのです。
日本においてもライブコマースによるアフターコロナ対策が必要であり、新たなビジネスモデル開拓の参考となるでしょう。
今回は、ライブコマースの概要から中国での事例について紹介します。
そもそもライブコマースとは
ライブコマースはECサイトとライブ配信動画を融合させたものです。視聴者はインフルエンサーなどによる商品紹介のライブ動画を見ながら商品を購入することができ、イメージとしてはテレビショッピングのインターネット版といえるでしょう。
ライブコマースは生配信であるため、商品情報をリアルタイムに受け取れ、不明点を販売者に直接確認しながら購入ができるメリットがあります。また、ほかの視聴者の質問内容や回答もあわせて確認可能です。
日本でもYahoo!ショッピングLiveや、メルカリチャンネル、SHOP ROOMなどのライブコマースサービスが存在しており、今後の新たなビジネスモデルとして注目されています。
コロナ影響下でも中国ではライブコマースで売上を伸ばした企業も
中国の事例の一つとして、スキンケア用品メーカーのフォレストキャビンの例を見てみましょう。フォレストキャビンは新型コロナウイルスの影響を受け、中国国内の300店舗の半数以上を閉鎖しました。創設者のスン・ライチュン氏は「生き残っていくためには、オンライン戦略にフォーカスすべきだということはわかっていました」と語っており、その方法としてライブコマースを選択したのです。
同社のライブコマースによる成果は1ヶ月と経たずにあらわれ、2020年2月期の売上は実店舗での売上が急落したものの、前年比20%の売上増となっています。
中国ではすでにコロナ以前の状態に戻りつつあり、ショッピングモールなどにも買い物客が戻ってきています。しかし、中国ではライブコマースを導入する小売業者が多くなった結果、「ショッピング・エンターテインメント」のブームが巻き起こっているのです。ライブコマースの販売者は芸能人やインフルエンサーなどが行うことが多く、エンターテインメント性もあるため中国の有名なライブストリーマーの配信では、1日で2,000万ものオンライン視聴者を集めることも。
中国のアリババが提供するプラットフォーム「Taobao Live」では、2月上旬の新規ビジネス顧客数は7倍以上の増加となっており、中国全体のeコマース収益はライブコマースによって倍増しています。中国の市場調査会社iiメディリサーチによれば、中国の2020年eコマース収益は9,610億元(約14.5兆円)に達する見込みとのこと。
ライブコマースは中国だけでなく、世界中で新たなセールス手法として注目されており、今後は日本においても新たなビジネスモデルとして定着する日も近いのではないでしょうか。