軽トラに生鮮食品などを積み込んで販売する移動スーパーの「とくし丸」が、2020年5月12日に沖縄県のスーパーである「リウボウストア」と提携したと発表しました。沖縄県での事業開始によって、47都道府県すべてでとくし丸が稼働することとなります。
今回は、近年需要が高まりつつある移動スーパーの「とくし丸」について紹介します。
移動スーパー「とくし丸」とは
移動スーパーのとくし丸は「コンビニよりコンビニエンス(便利)な移動スーパー」というコンセプトで全国展開しているサービスです。今回の沖縄県での事業開始によって、47都道府県すべてで稼働することになります。
とくし丸は冷蔵庫付きの専用車であり、生鮮食品を含む400品目以上を積み込んで販売しています。消費者の自宅近くで現物を「見て・触って・選ぶ」ことができ、買い物の楽しみを提供するサービスです。
新型コロナウイルスの影響により移動販売に対する消費者ニーズは高まっており、とくし丸の稼働台数も増加し続けています。2019年には新規に111台が稼働し、新規稼働台数は前年比18%増となりました。また、2020年5月までに58台が新規稼働しています。
とくし丸との契約スーパーは今回のリウボウストアを含め、127社となりました。沖縄で開始する移動販売では、リウボウストアから週2日のペースで消費者の自宅近くで移動販売を行うこととしています。
とくし丸が必要とされる背景
スーパーの超大型化や郊外化によって近所のスーパーが撤退し、日常の買い物に不自由している「買い物弱者」「買い物難民」が増えてきています。経済産業省の調べによれば、平成26年度時点で約700万人にものぼるとのこと。
近年ではネットスーパーなどのスーパーのEC化も進みつつありますが、ITが苦手な消費者にとっては「使い方がわからない」などの問題がありました。そんな消費者を救うサービスとして、とくし丸は「移動スーパー」の形を選んだのです。
買い物弱者だけでなく幅広い層に利用され始めている
とくし丸の利用者は主に高齢者が中心でしたが、最近では若い母親などの顧客も増えているとのこと。とくし丸1台あたりの売上高も拡大しており、一日あたりの平均売上高は4月に入ってから10万円を超えたとのことで、2019年の平均売上高は8万円だったため、2割増えたことになります。
新型コロナウイルスの影響で外出自粛要請があったことも要因の一つと考えられます。しかし、ユーザーにとってより便利なサービスであることが認知された結果とも言えるのではないでしょうか。
2020年4月にはイトーヨーカ堂とも提携しており、今後もとくし丸のビジネス規模は拡大することが予想されます。