2025年問題とは、戦後の第1次ベビーブーム期(1947年~1949年)に生まれた人たちが一斉に後期高齢者世代(75才以上の高齢者)に突入することによって発生する、経済や社会保障への急激な悪化懸念を指しています。
日本は慢性的な少子高齢化問題に悩まされ続けている国家です。昭和20年頃は総人口の5%にも満たなかった高齢者ですが、その後は年を追うごとに増え続け、2018年時点では総人口の31%に達しています。特に75才以上の後期高齢者率は深刻で、すでに総人口の14%が該当する事態にも及んでおり、医療費や介護費の負担増加が度々議論の的になっています。
2025年問題は、この日本の高齢化社会に拍車をかけ、国民生活に更なる打撃を与えかねないと懸念されている問題です。なにしろ、第1次ベビーブーム期に生まれた人は、およそ806万人を数えます。2025年問題においては、このわずか3年間の期間において総人口の約7%にもおよぶ人たちが、一斉に現場から完全に引退してしまうことを意味しています。
当然、社会にとって計り知れないほどの打撃を与える事象です。
経済規模の縮小
これまで日本経済を支えてきたベビーブーム期の人たちが、現役を完全に引退してしまう(75才以上では嘱託などの雇用形態を問わず、労働活動を担う人はほとんどいない)ことにより、日本全体の経済規模が縮小してしまう問題です。
現代日本では、65才以上のひとを高齢者と定義する一方で、15才~64才の人のうち就労の意思を持つ層を労働力人口として扱っています。日本の経済指標(例えばGDP)の構成などはこの労働力人口の所得が大部分を占めているため、国の経済にとっては大変重要な存在です。
ところが、2025年問題の進行は、この労働力人口の急速な減少をもたらします。内閣府によると2014年時点の労働力人口はおよそ6,587万人程度ですが、第1次ベビーブーム期の世代が完全に引退を迎える2030年度においては急速に下降し、なんと5,683万人にまで落ち込むものと見られています。
経済規模の縮小は、国全体の経済的な貧しさに繋がります。最悪の場合、日本は貧困国家に転落するかもしれません。
地方の衰退
人口減少と高齢化社会の影響は、都市部よりもまず、地方社会に致命的な打撃を与えます。現在の日本社会は、地方の若者が東京圏に流入することにより人口集中現象が生じてしまう「東京一極集中」により成り立っている社会です。つまり、東北や中国四国など、大きな経済基盤を持たないエリアになるほど、少子高齢化や人口減少問題は深刻です。
仮にこのまま2025年問題を迎えてしまうと、地方社会はどのような変化を辿るでしょう。現時点においては、多くの地方社会では若年者が極端に減少し、経済基盤として成り立たなくなるとの見方が有力です。
2025年問題が与える影響
2025年問題の根本的な課題は、まぎれもなく「高齢化」問題です。高齢化社会は医療技術の進歩など、良い面の兆しも有していますが、経済的な視点で見ると、総じてネガティブな要素です。特に2025年問題においては、これまでよりも急激に高齢化が進行するため、その影響は甚大です。