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QRコード決済に対抗馬、Apple新機能「App Clips」とは

広報部

2020.07.20

米国アップルは2020年6月、2020年秋に発売予定の新型iPhoneに搭載する「iOS 14」に、ミニアプリによる新機能「App Clips」を搭載すると明らかにしました。

「App Clips」は大まかに説明すると、非接触型ICのNFCチップや「App Clipsコード」と呼ばれるQRコードのような情報を認識し、ユーザー側にサービスとして表示するシステムです。ユーザーが市街地や店舗に設置されたNFCチップを読み取ることで、インターネット・実社会問わずさまざまなサービスへのアクセスを可能にするとしています。

具体的な状況としては、例えば、NFCリーダーのあるお店で端末をかざし電子決済を済ませたり、レンタルサイクルスポットでNFCチップを読み取り即座に自転車を利用したり、あるいはレシートに印字された「App Clipsコード」を読み取りサービスにアクセスしたりなど、さまざまなシーンでの活躍が期待されています。

ミニアプリで面倒な会員登録を省略

「App Clips」を「コードやチップを読み取るシステム」とだけ説明しては、「既存のQRサービスと大差ない」と感じてしまうのが普通です。

ところが「App Clips」は既存のQRサービスと大きく異なる点も有しています。その最たる部分は、ミニアプリと自動ダウンロードを活用し「Apple IDやApple Payと連動したサービス展開を実現した」というところ。

例えば、飲食店で割引クーポンのために店舗アプリを導入する際、「App Clips」で読み取ったサービスをそのまま「Apple ID」で会員登録するなどが可能になります。「App Clips」を活用することで、既存のQRコードや店舗系アプリの難点であった、「パスワードを設定し会員登録 → 電子メールで認証」などの面倒な手間を省略できるといった利点です。

今や多くの企業や店舗が、スマホアプリによる集客に熱をあげている時代です。しかし一方で、ユーザー側の一定数は「会員登録やパスワードの管理が面倒」と感じています。「App Clips」はこのあたりのジレンマを解消する役割が期待されています。

オンライン環境下でも活躍期待

ここまで紹介してきたサービスは、レンタルサイクルや飲食店など、いわばリアル社会での「App Clips」のサービスです。

しかし実際のところ、「App Clips」のサービスはリアル社会だけでなく、オンライン環境下でも作用します。例えば、オンラインサイトやSNSなどに掲載された電子コードを読み取って企業側が提供するサービスや企画を利用したり、ECサイトで商品を購入する際に「App Clips」を利用しクレジットカード情報を入力せずに決済したりなど、様々な利用方法が考えられています。

もっとも、これらのサービスはQRコード決済事業者も開発を進めている領域です。「App Clips」がどのような影響を与えるかは未知数ですが、これらのビジネスモデルは今後さらに拡大・多様化するものと見られます。

〈参照〉QRコード決済を駆逐するか Apple新機能の破壊力/日本経済新聞

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