2020年8月25日に、イケア・ジャパンはイケア原宿店専用の「IKEA原宿アプリ」の開発を発表しました。IKEA原宿アプリはiPhoneのカメラを利用してAR(拡張現実)による新たな消費体験を提供するためのアプリです。
今回は、IKEA原宿アプリの概要からARによる小売の未来について触れていきます。
イケア原宿店専用の「IKEA原宿アプリ」でできること
はじめに、IKEA原宿アプリはiPhone専用アプリであり、Androidでは利用できません。この点は注意事項として覚えておくとよいでしょう。
IKEA原宿アプリでは、アプリを起動して原宿店内の家具商品にかざすと商品が自動判別され、画面内に該当商品の「商品名」「価格」「色違い情報」などのさまざまな情報が表示されて確認できるようになっています。加えて、類似商品の閲覧も可能であり、約1,200種類以上の家具商品と色のバリエーションをARで表示します。
さらに、商品のスキャン後に何もない場所にカメラを向けることで、家具の配置シミュレーションが行えるようになっており、家具の購入後のイメージ確認としても利用可能です。
IKEA原宿アプリでスキャンした商品は、同社のECサイト「イケアオンラインストア」でも購入することができます。
ARはオンラインとオフラインの融合を実現する手段
IKEA原宿アプリはARを活用することで、オンラインとオフラインの融合を実現していると言えるでしょう。インタラクティブ(双方向)な情報のやり取りにより、今までになかった新しい消費体験を提供するものです。
近年、消費者は店舗でも気になる商品をインターネット上で検索し、評価や価格などをその場で確認することが多くなっています。消費者にとってより便利な買い物を実現するために、ARは一つの手段として有効と言えるでしょう。
ARによってもたらされる効果は消費者の利便性向上だけでなく、顧客満足度を高める効果も期待できます。ブランドの世界観の表現を行ったり、まるでゲームのような楽しい要素を加えたりすることで、付加価値を提供するのです。
小売企業にとってオンラインとオフラインの融合は重要な課題の一つとして挙げられてきましたが、その課題をクリアするための手段としてARを利用する企業も増えてきています。IKEA原宿アプリではECサイトとの連携も行えるように、店舗とECサイトとの橋渡し役としてもARは利用できるのです。