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EUのデジタル施策目標「デジタルコンパス」の4つの柱

広報部

2021.04.01

2021年3月9日に、欧州委員会は2030年までの欧州のデジタル化への移行実現を目指し、目標などを定めた「デジタルコンパス2030」を発表しました。

今回は、EUのデジタル施策目標である「デジタルコンパス」の4つの柱について見ていきましょう。

デジタルコンパスの4つの柱と数値目標

デジタルリテラシーの向上と高度デジタル人材の育成

現状780万人のICT専門人材を2,000万人に拡大します。16歳~79歳の成人の80%が基礎的なデジタル技術を取得すること(現状58.3%)を目標としました。

安全、高性能、持続可能なデジタルインフラの整備

全家庭にギガビット通信を接続(現状59%)し、現状14%の5Gをすべての居住地域で提供します。域内生産の拡大を目的として、次世代半導体のEU域内生産の世界シェア20%以上(現状10%)を目指すこととしています。

また、高セキュリティなエッジノードを1万台配備し、域内のあらゆる地域のビジネスに対してデータサービスへの遅延のないアクセスを保証し、2030年までに量子情報処理技術で世界をリードするために、2025年までにEU初となる量子コンピュータを導入する予定です。

ビジネスのデジタル技術活用

域内企業のデジタル技術活用を75%に拡大する予定であり、含まれる技術は次のとおりです。

  • クラウドサービス(現状26%)
  • ビッグデータ(現状14%)
  • 人工知能(AI)(現状25%)

また、現状は61%となっている域内中小企業の最低限の基礎的デジタル技術活用は90%以上を目標に定めました。加えて、企業価値10億ドルを超えるスタートアップ企業(ユニコーン企業)を250社に倍増する予定です。(現状122社)

公的サービスのデジタル化

80%のEU市民がデジタルIDを利用し、すべての主要な公的サービスをオンラインで利用可能にする予定です。すべてのEU市民が電子医療記録にアクセス可能になります。

目標を支える仕組みも検討済み

各目標の進捗状況を監視する仕組みとして、報告書を毎年作成して目標達成に遅れの見られる加盟国に対しては勧告を出すだけでなく、技術支援を提供する予定としています。

また、EUはアメリカや中国への依存度が高い現状に危機感を持っており、サプライチェーンの見直しも検討。防衛・外交・医療・原材料といった重要分野で、他国・地域への依存度を減らす「戦略的自立」を推し進めています。

〈参照〉欧州委、2030年までの官民のデジタル化目標提案/JETRO

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