2021年3月24日に株式会社鉄道会館は、データマーケティングを導入したことで東京駅構内の商業施設「グランスタ東京」において、弁当・惣菜エリアの19時台の売上が約2.5倍になったと発表しました。同社のデータマーケティングでは行動センシングに基づいたチャンスロスの気付きと対策によって効果が得られています。
今回は、グランスタ東京で実施された販売戦略について見ていきましょう。
弁当・惣菜エリアの19時台の売上が約2.5倍に
グランスタ東京では、鉄道会館とパナソニックシステムソリューションズジャパンが共同で2020年7月から新たなデータマーケティング活動を共同で推進しています。今回はグランスタ東京において売上規模が大きい弁当・惣菜エリアとスイーツエリアを対象に行われました。
機器を用いて得られる情報を使い、ユーザーの行動を観測・認識する「行動センシング」に基づき、チャンスロスの気付きと対策を講じたことで、弁当・惣菜エリアにおける19時台の売上が約2.5倍に増加したとのことです。
グランスタ東京における販売戦略
具体的にグランスタ東京ではどのような販売戦略が行われたのでしょうか。
弁当・惣菜エリアでは、2020年6月の緊急事態宣言解除後に最も売上が好調だった10月と、2021年1月の時間帯別エリア入店状況を比較したところ、19時台のエリア入店人数は減少していないものの購入数は減少していることが判明しました。
そこで、20時閉店を意識した帰宅前の惣菜需要の高まりに対して供給が追いついていないという仮説を立てたといいます。対策として取引先や店舗へ19時台の入店状況を具体的な数値で伝え、商品の増産体制や納品体制を強化したところ、チャンスロスが減って売上が増加しました。
その他にも、スイーツエリアでは隣接する雑貨エリアとメイン客層を比較し、雑貨エリアと比べて20~30代女性が少なく、プチご褒美スイーツ取扱店への立ち寄りが多いことが判明。そのため、雑貨エリア利用者へのスイーツエリアへの誘導を強化、プチご褒美スイーツの取り扱い店舗を拡大したところ、購入客数は15%増加・立ち寄り率は20%増加しました。
データマーケティングはチャンスロスの気づき・対策に有効
鉄道会館は今回得られた知見をもとに分析手法をパッケージ化して、ターミナル駅を中心とした他の駅ナカ商業施設への水平展開を今後の予定としています。
今回のグランスタ東京における販売戦略は、データマーケティングなくして実現は不可能だったと言えるでしょう。経験や勘に頼らず、行動センシングをもとにしたデータマーケティングだからこそチャンスロスの気づきと対策が行えた事例です。