日本は業種を問わず多くの企業で人手不足が叫ばれ続けています。そんななか、帝国データバンクは5月26日に人手不足に対する企業の動向調査を発表しました。この調査は2021年4月16日~30日の期間で、全国1万1003社からの回答結果を取りまとめたものです。
今回は、日本企業における人員不足の傾向について見ていきましょう。
正社員、非正社員ともに不足割合は2年前に比べると減少
2021年4月時点での調査結果では、正社員が不足している企業は37.2%、非正社員が不足している企業は20.6%という結果となりました。2年前の2019年4月時点では正社員不足が50.3%、非正社員不足が31.8%であったため、大きくポイントは減少しています。
しかし、1年前の2020年4月と比べると正社員不足が31.0%、非正社員不足が16.6%であり、4~6ポイントの上昇となっています。この結果は新型コロナウイルスの影響前後によるものと考えられるでしょう。
業種別の人員不足の傾向
業界別に見ていくと、正社員・非正社員の不足業種の上位は次のとおりとなりました。
正社員不足
- メンテナンス・警備・検査:55.6%
- 教育サービス:55.6%
- 建設:54.5%
- 情報サービス:54.1%
- 農林水産:53.5%
非正社員不足
- 飲食店:50.0%
- 教育サービス:46.2%
- 各種商品小売:45.2%
- メンテナンス・警備・検査:42.8%
- 飲食料品小売:38.8%
いずれも2021年4月時点での結果ですが、2019年4月と比べると減少し、2020年4月と比べると増加している傾向にあります。特に非正社員の飲食は78.6%→16.4%→50.0%と大きく変動しています。
また、非正社員の各種商品小売は56.1%→55.3%→45.2%とほぼ同水準ですが、飲食料品小売りは63.9%→32.4%→38.8%と推移している点が特徴的です。
2年前の水準に戻る可能性も考えられる
2年前の2019年4月時点では新型コロナウイルスの影響がほとんどなく、従来までの人手不足がそのまま数値に現れていると言えるでしょう。そんななかで2020年4月にはコロナの影響を大きく受け、企業活動が難しくなった点からも人手不足は一時的に解消されたように見えます。
しかし、コロナ禍での生活様式が安定し、収束が見え始めた2021年4月からは再び人手不足の傾向に戻り始め、このままでは2年前の水準に戻る可能性も考えられるでしょう。
そんななかでも、従業員の過不足感に関しては「適正」の割合は過去2年と比べても正社員が47.6%、非正社員が66.9%と高くなっています。これは、DX推進による業務改善などの影響も考えられるかもしれません。