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DXを推進するイオンリテールの「AIカメラ」と「AIカカク」

広報部

2021.06.01

イオンリテールは2021年5月13日に、2021~2025年度中期経営計画におけるDX推進の策として、「AIカメラ」「AIカカク」の導入を開始することを発表しました。AIカメラは2021年度中に約80店舗、AIカカクは7月までにほぼ全店となる約350店舗へ順次導入する計画です。

イオンリテールはAIカメラとAIカカクの導入によって、店舗のDX推進を進めようとしています。この記事では、AIカメラやAIカカクの概要から、それらがもたらすメリットについて見ていきましょう。

「AIカメラ」「AIカカク」の概要

AIカメラは店内映像を分析し接客や売り場改善をサポートするためのシステムです。2020年下半期に千葉県内の店舗のベビーカー・チャイルドシート売り場で行った実験では、前年同期比2.3倍の売上を実現しました。具体的には、身体的な特徴から年齢や性別などを判断し、AIカメラが検知して従業員に通知することでスムーズな接客を可能としています。

AIカカクはデータに基づきAIが適切な割引率を算出するシステムであり、販売実績や天候・客数などの環境条件をAIが学習し、時間帯ごとに各商品の陳列料に応じて適切な割引率を提示する仕組みです。こちらも2020年11月から先行導入した店舗においては、コロッケなどの惣菜で平均して割引率が2割強改善しています。

「AIカメラ」「AIカカク」がもたらすメリット

AIカメラは顧客に対する接客の質向上だけでなく、売り場での行動を分析・集積して注目度や利用頻度の視える化を実現します。これらの情報を用いれば、顧客の立ち寄り時間の長い売り場や動線、手をのばす頻度が高い商品棚などの仮想化が実現可能です。売り場レイアウトの変更や店舗ごとに異なる売れ筋商品の充実が期待でき、より魅力的な売り場へと改善するための手助けをしてくれるツールとなっています。

AIカカクは従来の勘と経験に基づくプライシングから脱却し、誰もが「その時」に最適なプライシングができるようになるシステムです。AIカカクを導入することで値下げや売り切り業務に係る教育時間を短縮でき、属人化されていた業務が標準化され、業務効率向上や省人化につなげられるでしょう。

DX推進の鍵は従業員・顧客双方におけるメリットの提示

イオンリテールが導入するAIカメラ、AIカカクは従業員と顧客の双方にメリットをもたらすものです。例えば、AIカメラを活用すれば接客が必要なときにしっかりと顧客のサポートができます。AIカカクも同様に従業員と顧客の双方にメリットをもたらすものであり、DX推進の鍵は従業員・顧客の双方におけるメリットをしっかりと提示することができるか否かにあるといえるでしょう。

DXの推進は単純にICTツールを導入するだけでは実現できません。イオンリテールの事例のように、従業員の業務負担軽減、顧客への新しい買い物体験の提供など、双方におけるメリットをしっかり提示することが重要であることがわかります。

〈参照〉イオンリテール/21年度「AIカメラ」80店「AIカカク」は全店導入へ/流通ニュース

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