さまざまな企業がDXを推進していますが、その大きな目的には「省人化」と「業務効率化」が挙げられるでしょう。小売店の大きな業態の一つであるコンビニでも、これらの課題に対してさまざまな対策を講じています。
今回は、セブンイレブンの実験拠点の紹介と併せて、小売店がDXを推進すべき理由について触れていきます。
セルフレジや電子棚札の積極活用
セブンイレブンは2019年12月に本社の近くにある「セブンイレブン麹町駅前店」を改装し、実証実験を継続的に行う拠点としてスタートさせました。
同店舗では、通常のレジよりもセルフレジが多かったり、ほぼすべての商品価格が電子棚札で表示されていたりと、コンビニにおける未来の姿が垣間見られる作りとなっています。通常のレジが4台であるのに対してセルフレジは5台設置されており、ファストフードの選び方も顧客が自ら自由に取る仕組みです。
セルフレジを導入することで従業員の負担軽減や、顧客の購買体験の向上を目的としています。また、電子棚札は値札の張替えが必要なく、値札張替えにおける業務負荷の軽減も実現。
たばこも無言で購入可能
もう一つ特徴的なものとして、たばこの買い方にも新しい方式が取り入れられています。従来はたばこを陳列する什器に番号が振られており、顧客は番号や品名を店員に伝えることで購入します。
しかし、同店ではレジ前の大型タブレットからたばこを選択でき、言葉を発することなく購入可能です。タブレットから選択されたたばこは、専用の什器で対象商品の部分がランプで点滅するため従業員の負荷軽減も実現できています。
たばこの銘柄は非常に多く、番号で伝えるにしても店舗ごとに異なるため従業員・顧客ともに手間がかかる方式ですが、新しい方式であれば近年増えている外国人従業員でも簡単に対応できます。そのため、従業員の業務効率化や省人化、顧客の利便性向上といった効果が期待できるのです。
キーワードは「省人化」と「業務効率化」
セブンイレブン麹町駅前店では、このように日夜新しい取り組みが行われています。その際のキーワードとしては「省人化」と「業務効率化」が挙げられるでしょう。
セルフレジの導入や大型タブレットを使用したたばこの新しい購買方式など、DXの一環として取り組まれていますが、省人化と業務の効率化に加えて顧客の利便性向上が目的となっています。
経済産業省が公表した資料によれば、現在1億2000万人ほどの日本の総人口は2050年までに約1億人にまで減少し、生産年齢人口比率は減少が加速すると見られています。このような状況のなか、多くの企業で人手不足が課題としてあげられており、小売業界は特に大きな課題になっていると言えるでしょう。
将来を考えると省人化や業務効率化は避けられない課題への対策であり、早めの実施が必要不可欠なのです。そのための対応としてDXの推進が行われており、さまざまな企業が取り組んでいる状況となっています。
未来のコンビニの姿が垣間見られるセブンイレブン麹町駅前店は、未来の日本社会が取り組まなければならない課題に対応している店舗の例と言えるでしょう。
〈参照〉2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について/経済産業省
〈参照〉「たばこは無言で買う時代」 セブンが実験店で掲げた“秀逸”すぎるコピーの意味とは?/ITmedia