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拡大を続けるフードデリバリー市場、8兆円規模市場で勝ち残るためには

広報部

2021.07.21

今や多くの人が利用したことのあるフードデリバリー。新型コロナウイルスの影響によって中食業界は2020年に8兆円規模の市場へと成長し、消費者の生活様式の変化に合わせた新たな飲食店の販売形式として注目されています。これから競争が激化することが予想されるフードデリバリー業界において、勝ち残るために必要なこととは何なのでしょうか。

今回は、2021年5月に行われたフードデリバリーに関する講演をもとに、デリバリー市場の現状から今後生き残るためのポイントについて紹介します。

デリバリー、中食市場の現状とは

新型コロナウイルスの影響によって、飲食店は多大な影響を受けました。外食産業の市場規模は1997年に29兆円だったものが2020年には22兆円になり、大幅に売上が落ちています。対して、中食事業は1990年には1.8兆円だった市場規模が2020年には8兆円にまで成長し、新たな市場として注目されています。

デリバリーの市場規模も2020年には6,264億円となり、2019年の4,183億円から前年比50%増の成長です。グルメメディアのヒトサラが調査した結果によれば、「デリバリーを使ったことがない」と回答した人は全体の5割強であり、さらに市場の成長が続くことが予想されています。

デリバリーによって変わる飲食業の商圏

飲食業界の市場の変化に伴い、デリバリーによって飲食業の商圏が変わるとの意見もあります。多数の飲食業店を経営するGlobridgeでは、コロナ感染拡大以前は約70店舗の飲食店を運営していましたが、コロナ禍で多数の店舗を閉店することに。

生き残りをかけてデリバリーに参入し、新ブランドの「東京からあげ専門店 あげたて」を立ち上げると約1年で全国160店舗の展開を果たしました。現在ではGlobridge社全体で前年比50%増の売上を達成しているとのこと。

この急成長の一因となったものが住宅地への出店です。従来の飲食店の店舗は集客のために駅前テナントが選ばれていましたが、コロナ禍では高い賃料に見合った集客が望めなくなりました。そこで、賃料が安くデリバリー先にも近い住宅地に目をつけたとのこと。

住宅地のテナントは空きも多く、デリバリー専門店のため内装費の削減が可能です。イートインに比べてスピーディかつ低コストで出店できる点が特徴です。

変わりつつあるデリバリーの役割と生き残るためのポイント

従来は実店舗に来店してからデリバリーを頼む顧客が多く存在しました。しかし、近年ではデリバリーで味を確かめ、その後店舗に行く顧客が増えています。つまり、消費者の導線が逆転しており、デリバリーの役割も変わってきているということです。

そのため、特定業態でも顧客層に変化が起き、男性中心だった牛丼屋やラーメン屋に女性やファミリー層から注文が入ってきています。デリバリーは特にスピード感が重要であり、「今食べたい」と考える消費者の満足度を左右する大きな要素です。

今後デリバリー業界は競争が激化することが予想されます。その中で生き残るためには、他社の参入を踏まえて消費者のニーズをいち早くキャッチして差別化を行なうことです。Globridge代表の大塚氏は「本腰を入れて参入する飲食店が増え、作っただけでは選ばれなくなっている」と語りました。

大塚氏が運営する「東京からあげ専門店 あげたて」では、価格帯や購入基準、マーケットサイズなどからセグメント化して差別化を狙ってきたと語られています。

デリバリーはまだまだ伸びていく市場であり、今から参入しても遅くない市場です。他社との差別化を意識しつつ、できる限り早く参入して先行者利益を得ることがポイントと言えるでしょう。

〈参照〉Uber Eats 日本代表らが語るフードデリバリー市場、今から伸びる店舗は?/ビジネス+IT

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