2019年10月1日の消費税率引き上げに伴い実施されていたキャッシュレス・ポイント還元事業が、2021年6月30日をもって終了しました。これまで無料だったスマホ決済の手数料が2021年7月から順次有料化されており、さまざまな業態で利益に影響を及ぼす可能性があります。
今回は、スマホ決済の手数料有料化の状況と併せて、スマホ決済をやめた場合のメリット・デメリットについて解説します。
キャッシュレス決済推進事業が終了―各社の決済手数料
7月から有料化されるスマホ決済の手数料は、各事業者によって比率が異なっています。概ね3%ほどとなっていますが、大手事業者の手数料は次のとおりです。
- Suica、PASMOなどの交通系ICカード:3.24%
- 楽天ペイ:3.24%~3.74%
- PayPay:無料(2021年10月1日以降は3%程度)
- LINE Pay:無料(2021年10月1日以降は2.45%)
- メルペイ:2.6%
- au PAY:無料(2021年10月1日以降は2.6%)※キャンペーン対象の場合
- d払い:2.6%
※2021年8月16日時点
最大手であるPayPayの決済手数料は現時点では無料ですが、10月以降は3%程度になることが予定されており、その他の2%台の事業者へとユーザーが流れる可能性も考えられます。
スマホ決済をやめる場合のメリット・デメリット
スマホ決済の手数料が有料化されたことに伴い、スマホ決済をやめることも選択肢として挙げられます。スマホ決済を辞める場合のメリットとデメリットについて簡単にまとめました。
メリット
- 決済手数料の負担がなくなる
- 入金までのタイムラグがなくなる
デメリット
- 顧客の損失が生じる可能性がある
- 現金管理によるリスクの増加
- 売上管理の作業時間の増加
辞める場合の最大のメリットはもちろん手数料の負担がなくなること。併せて、現金を直接受け取れるため入金のタイムラグがなくなる点もメリットです。対して、スマホ決済をやめることで顧客の損失が生じる可能性があります。
最大手のPayPayは登録者数が4000万人を超えており、いまやスマホ決済は特別なものではなくなっています。この点は大きなデメリットの一つと言えるでしょう。また、現金を取り扱う機会が増えることでのリスクと作業時間の増加もデメリットです。
場合によってはスマホ決済をやめることも一つの手
現時点で売上に対してスマホ決済の比率が大きくなければやめることも一つの手です。しかし、スマホ決済の比率が大きい場合は、デメリットも大きくなってしまうため慎重に判断したほうがよいでしょう。
デジタル化が進んだことでスマホ決済は一般的な決済方法となり、今後も多くの人が利用すると考えられます。店舗の環境に合わせて、スマホ決済をやめる場合はメリットとデメリットを考慮して慎重に判断することをおすすめします。
今後もスマホ決済の手数料は変動する可能性があるため、しっかりとチェックしておくことが重要です。