日本の大手アパレル会社であるオンワード樫山は、実店舗とオンラインストアのメリットを融合した新業態のOMO型店舗「ONWARD CROSSET STORE」を2021年4月から本格開始しています。アパレル業界ではECでの販売強化はもちろんのこと、店舗における顧客体験の向上が重要視されていますが、オンワードではOMO型店舗によってどのように対応しているのでしょうか。
今回は、オンワード樫山の第二カンパニーOMO Div. 課長である前川真哉氏のインタビューをもとに、オンワードのデジタル戦略について紹介します。
4月から展開するOMO型店舗「ONWARD CROSSET STORE」
ONWARD CROSSET STOREは、試着して購入ができる実店舗のメリットと、幅広い品ぞろえがあるオンラインストアのメリットを融合し、デジタルを活用した顧客利便性を高めるサービスなどを充実させた店舗です。
これまで、オンワードではレディス、メンズ、子供服などのブランドでテイストを分けつつ、一ショップ一ブランドの形で顧客に商品を提案していましたが、変化する顧客ニーズに合わせて顧客が自ら買い方をカスタムできる店としてオープンしました。
これまでの百貨店メインだった出店戦略と違い、商業施設を中心に出店しています。郊外型ショッピングモール、都心の商業施設、地方のショッピングセンターといった出店場所に変化をつけ、それぞれでの顧客の買い方の違いなどによる課題の対応を進めているとのこと。
オンワードが強化する「クリック&トライ」とは
ONWARD CROSSET STOREでは、特に強化しているデジタル施策として「クリック&トライ」が挙げられました。クリック&トライは、オンラインストア上にある在庫をブランドの垣根を超えて店舗に取り寄せ、試着・購入ができるものです。
オンワードの商品は一般的な商業施設で販売しているものより単価が高い場合が多く、買う間に試したいという顧客ニーズに対応したものとなっています。
クリック&トライで取り寄せた商品は店舗で試着し、スタッフの接客も併せて検討できるため、好評を得ているとのこと。また、当初はスマホなどで家から予約する需要を想像していましたが、実際には予約の半分以上が一度店舗に来店して接客を受けた上で予約することが多かったと語られています。
「パーソナルスタイリング」「スタイリングライブ」などのデジタル戦略
ONWARD CROSSET STOREでは、クリック&トライ以外にもオンライン上・実店舗を問わずスタイリストの接客が受けられる「パーソナルスタイリング」を導入しています。
その他にも、動画で紹介した商品をすぐにオンライン購入や試着予約ができる「スタイリングライブ」を実施するなど、さまざまなデジタル戦略が実施されています。スタイリングライブは毎週金曜日にさまざまなテーマでライブ配信が行われており、手法としてはライブコマースと同じものです。
新型コロナウイルスの流行を期に、顧客ニーズは非常に多様化しています。アパレル業界だけでなく、あらゆる業界において、オンワードのようにさまざまなデジタル戦略を実施し、多様化した顧客ニーズに応えることが重要になってきています。