近年、急激に成長を遂げている中国の越境EC企業であるShein(シーイン)をご存知でしょうか。1年で1兆円企業の仲間入りを果たしながらも、多くのビジネスパーソンはその存在を知らないという不思議な企業です。
今回は、そんなSheinの概要と併せて、Sheinのビジネスモデルについて紹介します。
1年で1兆円企業の仲間入りを果たしたShein
Sheinは中国の企業でありながら、中国人はその存在をほとんど知りません。その一方で、欧米のメディアや日本の10代女子でその名前を知らぬ者はいないと言われる存在です。
Sheinは中国臭さを消したSNS戦略によってステルスマーケティングを行い、オーストラリアを中心に中国以外の国のZ世代(2000年代生まれ)の定番となっています。オンライン売上だけで言えばZERAを抜かし、いずれ世界一になると見られている企業(ブランド)です。
アメリカのBloomberg誌では「ファストファッションの帝王」として紹介されており、この1年で売上を倍増させて1兆円企業の仲間入りを果たしています。
Sheinのビジネスモデルの柱
Sheinが成功した秘訣ともいえるビジネスモデルの特徴としては、次のようなものが挙げられます。
- ビッグデータを活用した科学的ファッション商品開発
- 有名インフルエンサーと組んだSNSを活用したマーケティング
- 工場に落ちている残反を活用した原材料費ゼロのサプライチェーン
- 世界各国の消費者へのダイレクト小口配送
- 中国の輸出関税と米国の輸入税免除
Sheinでは企画やデザインを徹底したビッグデータ分析で行っています。世界中の国のエリア傾向や消費者の購買動向までを分析し、SNSによるWeb誘導と工場から得られるビッグデータと掛け合わせて流行の服を短期間で開発しています。
また、中国の工場には世界中のアパレルが残した残反や糸などの「薄荷ゼロ在庫」が多く残されており、これらを利用することで原材料ゼロのサプライチェーンを実現。
さらに、ECのみで世界各国の消費者へは個人輸入という形でダイレクト小口配送を行っています。これにより、中国の輸出関税と米国の輸入税免除も実現し、極めて安価なコスト構造と販管費となっているのです。
販売されている服の品質については、ユニクロやg.u.などの「日本品質」に慣れている人にとっては「残念な品質レベル」と評されていますが、今後5年でその状況は変わりうると言われています。
ファストファッションの代表的なブランドとして、Sheinがユニクロやg.u.と並ぶ日はそう遠くないかもしれません。
〈参照〉1年で1兆円企業に、ECでZARAを圧倒する中国 Shein(シーイン)の秘密に迫る 原材料費・関税ゼロの衝撃!/DIAMOND Chain Store