3月12日に楽天グループは約2400億円の増資を発表しました。近年、楽天グループは楽天モバイルに力を入れており、今回の提携によって5G時代のフロントランナーへと一気に押し出す可能性があります。
今回は、楽天グループの増資に今後の楽天の狙いについて見ていきましょう。
楽天グループが約2400億円の出資
楽天グループは「第三者割当増資で約2400億円を調達する」と発表し、出資先は日本郵政グループ、中国のネット大手テンセント・ホールディングス、アメリカ小売大手のウォルマート、個人としての三木谷浩史楽天グループ会長件社長となっています。
最大の引受先は1500億円を出資する日本郵政です。
日本郵政との提携の狙い
日本郵政は全国に2万4000局の郵便局を持ち、楽天グループが提供する楽天モバイルとの連携で活用されると見られています。もともと楽天と日本郵政は2020年12月に物流分野で協業を進める業務提携を結んでいましたが、今回の出資では協業の範囲を携帯電話事業やDXなどに広げています。
楽天モバイルの実店舗は全国に約600店舗しか存在しておらず、大手3社のそれぞれ2000店舗に比べると実店舗での販促が弱い一面がありました。しかし、今回の日本郵政との提携により、大手3社の10倍にもなるリアルな販売拠点を手に入れたことになります。
加えて、日本郵政が持つ強固な物流網も大きな魅力となっており、アマゾンとの物流競争においてもこの提携は大きな意味を持つとされています。
日本だけでなく海外にも注目
今回の提携については国内では日本郵政に注目が集まっていますが、海外企業との提携も見逃せません。テンセントは中国最大のSNS「WeChat」を運営しており、ゲームソフトやフィンテックでも世界有数の規模を持っています。
ウォルマートは世界最大の小売企業であり、ネットスーパーなど「小売のDX」でアマゾンと互角の戦いを繰り広げている企業です。時価総額で言えば世界6位(テンセント)と世界17位(ウォルマート)が楽天をパートナーに選んだことになり、楽天グループのさらなる飛躍が期待されます。
今回の資本業務提携は楽天を軸に、日米中の巨大企業がネットとリアルを融合した新しいプラットフォームの構築に動き出した第一歩と見ることもできるでしょう。