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日本の「はんこ文化」を脱却するべく政府が取り組みを開始

広報部

2020.05.19

新型コロナウイルスの影響で在宅勤務(テレワーク)を初体験した方も多いのではないでしょうか。以前から政府はテレワークを推奨していましたが、なかなか進まない現状がありました。その原因の一つに日本の「はんこ文化」が挙げられます。

今回は、はんこ文化の問題点から政府が新たに取り組みを開始した「eシール」の概要について見ていきましょう。

はんこ文化の問題点

日本では正式な書類をやり取りする際などに、本人確認のためにはんこ(印鑑)を利用しています。海外では、はんこに馴染みがほとんどなく、はんこの代わりにサインを用いるもの。

はんこを利用する場面としては、宅配物の受け取りや契約書、銀行などで口座開設をする際に利用します。近年では、宅配物の受け取りではサインで済ますという方も多いのではないでしょうか。

しかし、企業間でやり取りする契約書や請求書などでは、はんこ(社印)を押印する機会は多いものです。デジタル化が進む現代においても、これらはいまだ紙に印刷し、押印しなければならないことが多いと言えます。

企業間の紙ベースのやり取りを完了させる場合、郵送・押印・返送と最短でも1週間ほどかかるでしょう。デジタル化すればこれらのやり取りは1日もかからずに完了します。

また、テレワークを企業が導入しようとしても、紙ベースのやり取りが発生することで、会社に出勤しなければ対応できないということに。このような問題から、テレワークがなかなか進まない原因となっています。

社印の電子版「eシール」とは

eシールは社印の電子版として利用されるものです。総務省は2020年4月20日の有識者会議で、はんこ文化を一新する計画を発表しました。そのなかで、請求書などの電子書類が本物だと証明する認定制度の運用を2022年度からはじめる計画を提示し、その内容にeシールが含まれています。

デジタル上の個人を証明するための技術としては「電子署名」が挙げられます。eシールと電子署名は技術的には大きな違いはありません。双方の違いは、組織に紐づくものか、個人に紐づくものかという違いです。

EUではすでにeシールが活用されており、法人が発行した文書を認証するもの、文書の出どころと改ざんされていないことを証明するもの、として利用されています。

日本の労働環境を大きく変えるきっかけとなる可能性

日本の企業間ではまだまだ多くの書類が紙ベースでやり取りされています。今後eシールが普及すれば、書類の電子化が進み、テレワークの導入も進むでしょう。

政府は2030年には、世界銀行がまとめるビジネス環境評価で、G20のトップを目指す新目標も合わせて発表しています。先進諸国と比べてIT化が一歩遅れた日本企業の文化を、大きく変えるきっかけとなるのではないでしょうか。

〈参照〉「はんこ文化」見直し本腰 仕事を電子化、テレワーク推進―政府/JIJI.COM

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