三井住友カード株式会社は、自社が保有するクレジットカードなどのキャッシュレスデータから、新型コロナウイルスによって顧客の消費行動がどのように変化したのかをレポートとして発表しました。

データ分析支援サービスの「Custella（カステラ）」を用いて、個人情報が特定できないデータで分析が行われましたが、顧客の消費行動が見える結果となっています。

今回は、そのレポートを元に顧客の消費行動がどのように変化したのかを見ていきましょう。

60代以上のEC利用率の増加が顕著に

〈引用〉コロナ影響下の消費行動レポート〜高年齢層のECサイト活用加速と変化する巣ごもり消費〜（三井住友カード株式会社）/PRTIMES

2020年1月から3月の「業種ごとの性・世代別の決済件数シェア推移」を参照すると、60代以上の「ECモール・通販」の決済シェア件数の増加が顕著に現れています。20代～30代は日常的にECを利用しており、コロナによるEC利用率の変化は見受けられませんでした。

しかし、60代以上はコロナ感染による重症化が危険視されていることもあり、男女を問わず60代以上のEC利用率は、2月と3月を比較すると明らかに増加していることがわかります。

高年齢層はコロナから身を守る目的で、外出する必要のないECモール・通販を活用している、という変化が読み取れます。

業種ごとの変化、明暗がはっきりと分かれた

「2020年3月の増加・減少業種ランキング」では、前年同月比での業種ごとの変化が確認できました。業種別の決済件数・金額の伸び率を見ると「ホームセンター」「スーパー」などの生活必需品を取り扱う業種は大きく伸長しています。また、「ECモール・通販」「ペット関連」「通信サービス」も伸長しており、これらは在宅時間の増加による「巣ごもり消費」であると見られます。 反対に、「レジャー施設」「旅行代理店」「映画・劇場」などの業種は、決済件数・金額ともに大きく落ち込んだ結果に。なかでも、レジャー施設の伸び率平均は前年同月比97.5%減と多大な影響を受けていることがわかります。これらの業種は、企業自らの営業自粛や顧客の「三密」回避による行動の変化が、大きな影響を与えていると予想され、業種ごとの変化がはっきりと明暗分かれた形となりました。

〈引用〉コロナ影響下の消費行動レポート〜高年齢層のECサイト活用加速と変化する巣ごもり消費〜（三井住友カード株式会社）/PRTIMES

アパレル分野では、在宅ワーク需要で”体に負担をかけない””長時間座っていても楽”など機能性を重視した消費行動が伺えます。そのため、ファッション性よりも機能性に強いスポーツブランドを選択する消費者が増加していることがわかります。これは、在宅ワークの需要が増えたことを考えると、自然な流れであることが考えられます。

4月は娯楽品の消費が増えている

〈引用〉コロナ影響下の消費行動レポート〜高年齢層のECサイト活用加速と変化する巣ごもり消費〜（三井住友カード株式会社）/PRTIMES

4月に入ると、娯楽品の消費が増えていることがわかります。

4月1日～4月14日の「決済金額伸長業種ランキング」を参照すると、20代～40代で「玩具・娯楽品」の決済金額の伸長が1位であり、全体でも玩具・娯楽品の伸長は52.3%と1位になっています。

4月7日に緊急事態宣言が発出され、それに伴う外出自粛の長期化が予想されました。そのため、在宅時の余暇時間を充実させるために、玩具・娯楽品の消費が増えたことが予想されます。

見逃せない「安全志向」重視の行動

今回の調査により、消費者行動はしっかりとした理由に基づいて変化していることがわかります。特に、高年齢層の「安全志向」重視の行動だと考えられる”ECサイト活用のデジタルシフト傾向”は見逃せません。この傾向は一過性の変化ではなく、デジタルシフトの加速と理解することもできます。高年齢層が使いやすい操作性・表現などが今後のECサイトに必要となってくると考えられます。

また「巣ごもり消費」が生活必需品から娯楽品に移り変わってきている状況は、今後「コロナ感染収束後」の消費行動を考える上で重要なポイントと考えられます。

三井住友カード株式会社は「今後、段階的な緊急事態宣言の発令による消費行動の地域差についての検証や顧客インタビューなどから、消費行動変化の考察をさらに深めていきたいと考えている」としています。

〈参照〉コロナ影響下で高年齢層が実店舗からECにシフト／巣ごもり消費により娯楽品が伸長【三井住友カード調査】/MarkeZine
〈参照〉コロナ影響下の消費行動レポート〜高年齢層のECサイト活用加速と変化する巣ごもり消費〜（三井住友カード株式会社）/PRTIMES