2019年に施行された「働き方改革」のなかで、テレワークは重要な施策の一つとしてあげられています。また、昨今の新型コロナウイルスの騒動によって、テレワーク導入の動きは加速しました。新しい働き方の一つとして注目を集めているテレワークですが、諸外国と比較した場合に日本はどの程度普及しているのでしょうか。
今回は、欧米諸国と日本のテレワーク事情を比較するとともに、今後の日本人の働き方について触れていきます。
欧米諸国と日本のテレワーク事情を比較
日本は欧米諸国と比較すると、全体的にテレワークの導入が遅れています。厚生労働省が公表している資料をもとに、「テレワーク人口」「テレワーク導入企業率」で比較してみましょう。
国名 | テレワーク人口 | テレワーク導入企業率 |
アメリカ | 全就業者の20% | 85% |
カナダ | 19% | 23% |
イギリス | 常時:3.6% 時々:20.4% | 38.2% |
ドイツ | 常時:3.2% 時々:7.7% | 21.9% |
フランス | 常時:6.8% 時々:12.3% | 14% |
日本 | 全就業者の3.9% | 16.2% |
テレワークの海外普及動向(テレワーク情報サイト:厚生労働省)
テレワークの日本国内の普及動向(テレワーク情報サイト:厚生労働省)
欧米諸国と比較すると、日本のテレワークの普及は遅れていることがわかります。しかし、このデータは2015年頃のものであり、最近では新型コロナウイルスの影響もあったため、表の数値は全体的に向上していることが予想されます。
なぜ欧米諸国はテレワークの普及が進んでいるのか
最もテレワークが普及しているアメリカは、日本の約26倍の国土面積を有する国であり、共働きの夫婦がそれぞれ離れた都市で働くケースも少なくないとのこと。そのため、テレワークによって別居することなく、遠方でも希望の会社に就職ができるということで、画期的なシステムとして受け入れられているといいます。
また、イギリスは欧州のなかで最もテレワーク普及率が高く、環境面で日本と似ているため大いに参考にできる国と言えるでしょう。イギリスの首都ロンドンではインフラが老朽化しており、交通事情が悪いためオフィスに出社できないこともしばしばあるといいます。そのため、自然災害やストライキなどによる交通マヒが起きたとしても、自宅で仕事ができる環境を整える必要があったのです。
さらに、6歳以下の子供がいる場合や特別な家庭の事情を抱えている場合は、上司に申請することで企業側は臨機応変に対応するように定められています。
これらのことから、欧米諸国では従業員のワーク・ライフ・バランスの充実のためにテレワークの普及が進んでいると言えるでしょう。
今後の日本人の働き方とは
昨今の新型コロナウイルスの騒動によって、日本でも多くの企業がテレワークの導入を急いでいます。もともと「働き方改革」によって、私たちの働き方には変化が求められていましたが、新型コロナウイルスでその動きが加速したと言えるでしょう。
今後は日本でもテレワークが一般的になると予想されますが、テレワークの導入は「目的」ではなく「手段」であることを認識するべきです。欧米諸国のように、テレワークの導入は「ワーク・ライフ・バランスの充実」という目的のための手段となることでしょう。
〈参照〉テレワークの海外事情!先進諸国から見えてくる日本の現状と進むべき道とは/KOBE Work style-reform.com